028906 ランダム
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第28部「愛してる故」

28部 愛してる故



工場近く  亀横vs皆   同時刻
「クッ・・・・!」
「そんなデカくて隙のあるのじゃあ、当たんねぇよ!」
皆のマシンガンが火を吹く
【パパパパンッ!】
亀横は咄嗟に近くの岩に隠れた
銃弾は全て岩に当たる
『ラ・・・ライフルじゃあ無理だぁぁ・・・』
亀横は頭を下げ、岩の上から銃口だけを出し、闇雲に撃った
【ダーーンッ!】
銃声は弾聴し、何重にもなってまた聞こえた
「!!」
皆の近くの石が弾け飛んだ
【パンッ!】
「キャッ!」
ライフルの銃口のすぐ横の岩が削られた
「出てこい!隠れていても得はないぞ!」
「・・・じゅ、銃に当たんないもん・・・」
「それは両方だ」
「ど、どうせ出ても当たんないもん、だったら隠れてる方が良い」
「・・・・なら、こっちから行くぞ」
「き、来たら撃つ!!」
「どうせ当たらない」
皆はゆっくりと岩に向かい2歩近付いた
【ダーーンッ!】
「グゥゥゥッ!」
ライフルの銃弾は皆の左肩を貫く
服は赤く滲み、そして一筋の血液がしたる
皆はマシンガンを岩の裏目掛けて投げた
そして走り出す
「キャッ!」
そして亀横の目前まで迫った
「・・・っの野郎!」
皆は右手で左肩を押えながら亀横の左頬を蹴る
【ガッ!】
コンクリートを蹴るような音と共に亀横は仰け反る
そして亀横の手からライフルを取り、ポンプアップさせて狙いを定める
「死ねぇ・・・・クソッ・・・!」
皆が引き金に人指し指をかけた
ーーーーーその時
【ズズッ!】
「!?」
皆の右手の甲にサバイバルナイフが刺さる
【・・・ガシャンッ】
ライフルが下に落ちる
「・・・・!!・・・・・守川ぁぁぁ!!」
亀横を挟んだ皆の前に、守川が現われた
皆の左肩と右手からは血が流れている
「・・・・守川、くん・・・」
皆は引きつった笑顔になった
『・・・どこまでも手間ぁかかる女だなぁ・・・』
そう思い、守川は顔をゆがめた
「亀横っ!どっか行ってろ、邪魔だ・・・」
守川は足下にあったマシンガンを拾う
「え、あ、うん・・・・でもどっかって・・・?」
「本部に向かって走れ・・・」
「・・・わ、分かった・・・」
「・・・・誰が逃がすっつった?」
「誰が逃がさせないって?」
マシンガンを皆に向けた
「・・・・ちっ」
亀横は頭を一度下げ、走っていった
「女虐めるなんて・・・イテェな」
「・・・女ん味方する方が・・・イタいぜェ」
「知らねぇよ」
【パンッ】
マシンガンの銃弾は皆に向かった
皆はしゃがみ、銃弾を避け、ライフルを掴み右に転がる
「リーチはこちらの方がある」
ライフルを守川に向け、引き金を引く
「早さはこちらの方がある・・・! 」
マシンガンの引き金を引く
【パンッ!】
【ダーーンッ!】

銃声に森の木々がざわめいたーーーー





生き残り 10人
A組男子・無し 女子・植杉 冥
B組男子・加藤 宅、守川 直光、丸元 晃、獏 陀桜 女子・金斗 麻梨亜、成琴 由美
C組男子・皆 信長 女子・亀横 公美絵
D組男子・金崎 竜介 女子・無し
残り男子6人、女子4人
鍵保持者 植杉 冥

侵入グループ 4人
女子 伊勢 なみ・紗山 向日葵
男子 北極 智侍紅・野乃 猛

政府団 26人
立花
白川
その他・兵士 24人

??? 1人
ガキ(現在地不明)


残り2時間52分





第7章   ーー The strongest national power ーー



コンビニ前  獏   1時08分
「・・・・風が・・・・落ち着かない・・・」
ヒュオーと音を立てて、幾度も風が通る
獏は目を瞑る
『あと・・・何分だろうか・・・』
「・・・・ん?」

【・・・チカッ、チカッ】

獏の右手の機械が光り出した
真ん中と、南西の方向に
「・・・・・デ、デッドゾーンだっていうのか・・・?」
『そんな話、放送で言っていないぞ・・・! 』
「・・・・」
『あと何分後に始まるかはわかんねぇが・・・』
「・・・ちっ!」
『行くしかねぇな』
【バッ!】
獏は機械の示す"南西"へと走り出した

デパート  丸元 vs 植杉   1時10分
2人はデパート内に入った
植杉は1階にいた
・・・丸元の姿は見当たらない
「・・・・どこだぁ・・・!」
植杉の額には過剰な程の汗が見えている
「・・・はぁ・・・はぁ・・・毒のせいかぁぁ・・」
植杉は右手の機械を見る
レーダーに丸元は写っていない
「・・・・」
『近くにはいない・・・』
植杉は音を立てない様に走り出す
「あっ・・・」
階段を見つけ、すぐに地下へと下りた・・・

植杉
1階

地下1階

『野菜とか売ってるとこ・・・』
その時だった
【フッ・・・】
「!!」
地下に下りた瞬間、右手のレーダーが消えた
「・・・まさか」
『地下ではアンテナが届かないの・・・?』
地下は真っ暗だった
『・・・という事は、丸元はずっと地下にいた可能性が・・・』

【バキュン!!】

「ひゃっ!!」
植杉は身を屈めた
そして右方向へと走り出した
【バキュンッ!!】
丸元はもう1発撃った
しかし、当たらなかった

「・・・・はぁ・・・」
『なんで場所見つかったの!?』
地下は真っ暗なので人が動いたって分からない
頼りは音だけ
例え隣にいたって音をたてなければ見つからないだろう
『・・・はぁ。ヤバい・・・』

【バキュン!!】

【バチッ・・・!!】
「ギャァ!!」
銃弾は植杉の左太ももを貫いた
『なっ・・・・!!』
左足を引きずりながらまた走り出す

『考えろ考えろ・・・なんで見つかるのかを・・・考えろ考えろ考えろ・・・』
「あぁ・・・」
右手で、出血する太ももを押さえた
『・・・あぁ、あいつになくてうちにあるもの。うちになくてあいつにあるもの・・・えっと、えっと・・・』

「・・・・!!」
『・・・そういう事か・・・』


【バキュン!!】
「・・・・」
撃った方向に丸元が近付くと何もなかった
『叫び声も聞こえなかったな・・・なぜだ』
丸元はキョロキョロとし始めた
そしてキーチャーを見た
『確かにこの辺だ・・・どこだ、くそっ』
丸元は3歩後退した
【フッ】
キーチャーの赤い光りが消えた
「・・・・よしっ」
【カチャ】
丸元の"よしっ"と同時に聞こえた
背中に銃が突き当てられた

【バッ!!】

デパートの電気が付いた
丸元の少し前には植杉のバッグと"鍵"があった
「そういう事かぁ・・・・やられた」
真後ろには両手でマグナムを構えた植杉が立っていた
「キーチャーはセコいょ」
「・・・地下ではレーダーから消えるってよく気付いたな」
「偶然だ・・・・ょ・・・」
「?」

【ガシャッ!】

植杉は倒れた
「・・・な、なんだょ・・・」
「ゴホッゴホッ!!!・・・ゲホォッ!!」
植杉の口からは血液が出ていた
「ぅ、植杉・・・病気かょ・・・?」
「・・・ぅ、ぅるさぃ!!触るな!!」
植杉は丸元の手を払う
「・・・で、でもぉ前・・・」
「・・・・こ、これは・・・病気じゃない」
「・・・・」
「まつこ(金斗)の武器から貰った・・・毒を塗ったものを刺された・・・のょ」
「・・・」
「な、なに黙って・・・黙ってるのよ!?早く殺しなさいょ・・・!」
「・・・・」
丸元は植杉の腕と植杉のバッグを掴み階段を昇る
「ちょっ・・・!なにょ!?・・・ま、丸元!!」
「・・・」
丸元は無言で歩く

外に出る
【ドサッ!!】
「な、なにすんのょ!!」
「・・・どっか行け」
「はぁ?」
「俺はお前を殺さねぇ、毒で孰れ死ぬ奴をわざわざ殺す程Sじゃねぇ」
「・・・・殺せ!!」
「いやだ」
「殺せ!!」
「なら自害すりゃぁ良い話だ」
「・・・・くっ・・・」
植杉は泣き出した
「・・・・俺ぁ知らねぇぞ、行くからな」
丸元は歩き出した
「待って!!」
「あ?」
「・・・んっ」
植杉は座りながら鍵を差し出した
「・・・・もう良いのか」
「うん、うち死んでんのに持ってたら誰も脱出出来ないじゃん」
「・・・そか」
丸元は植杉に近付いた

「!?」

丸元は植杉の右手に左手を重ねると同時に、唇を重ねた。
「ん・・・」
丸元の右手は植杉の胸部分にあった
「・・・・・」
「・・・・・」
2人は無言だった、そのまま10秒程経った
丸元は植杉から離れた
「ずっとお前が好きだった」
「・・・・なんでょ・・・」
「・・・え?」
「・・・もっ、もっと・・・なんでもっと早く言って・・・くれなかったの・・・!!」
「・・・・」
「・・・・・ば、バカ・・・」
「・・・・ゴメン」
丸元はもう一度植杉にキスをした
「・・・ホントはエッチまでしたかったんだけどなw」
「バカ・・・」
「・・・・もう手後れなのか?」
「うん・・・」
「・・・そか・・・。分かった、じゃあここでさよならだ」
「それが・・・お互い良いと思う・・・」
「・・・死んでも元気で」
「バカじゃんw」
「はは」
「・・・丸元・・・。うちの分も・・・生きてね」
「あぁ、わかってる。・・・じゃあ」
「あ、あと・・・」
「ん?」
【ガシャ】
植杉は丸元の足下にマグナムとその銃弾を投げた
「代わりにその銃頂戴?」
「これ?あぁはい」
丸元は手に持っていた銃を渡し、マグナムを拾った
「あんがと、これあれば生き残れるわ」
「良かった」
「じゃあ、俺行くわ」
「うん、頑張って」

丸元は歩き出した

植杉はそれを見送る事しか出来なかった

丸元は、泣いていた

植杉は、泣いていた

『さよなら・・・植杉冥』

崖  植杉   1時42分
【ザザーン・・・ザザーン・・・】
「・・・・」
植杉は何とか崖の上まで行った
「ゴフッ・・・」
口から出る血が止まらなかった
「・・・・さよなら」
植杉はバッグと銃を後ろに置いた

もう毒が廻って死ぬ

ならその前に死んでやろう

さよなら、みんな、さよなら

私は、旅立ちます

さようなら

【タンッ】
植杉は飛んだ

ーーーあなたが好きだと言ってくれた

ーーー私が笑って死ねるのは

ーーーあなたがいたから

ーーー私が死んでも・・・

ーーーあなたの中で生きるから

ーーーあなたの心と気持ちの中で・・・

ーーー生きるから

植杉は笑っていた



【バシャーンッ!!】


さよなら♪




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